ゲルマン、北欧神話にでてくるドヴェルグ(小人)。父の名はオーイン。ロキ神に黄金、金の指輪を無理やり奪われ、その宝物に呪いをかけた。「レギンの歌」にかたられている。
オージンとロキとへーニルが旅をしていた時、かわうそを捕らえて殺したが、それはオトルという者が変身した姿で、 その後、オトル(オト)の父フレイズマル(フレイドマル)のところに宿を求め、ことの次第が知れ、フレイズマルに賠償を要求された。
ロキが、魚(かます)になっていたアンドヴァリをつかまえ、黄金を差し出させた。アンドヴァリは「指輪があれば黄金をふやせるから、
指輪だけは取らないでくれ」と頼むのも無視して、指輪も持ち去っていった。
アンドヴァリは、その指輪は持ち主が誰であれ、
その持ち主の死の原因となるだろうといった。(「グストの手にあったこの宝は、二人の兄弟の死となり、八人の王者の争いの因となろう。誰の益にもなるものか」ニーベルンゲンの宝の呪い)
三人の神は、フレイドマルのもとで、かわうその皮の中を黄金で満たし、外側を黄金で覆い、ひげ1本がおおわれてないと言われ、最後まで隠していた指輪アンドヴァリナウト(アンドヴァリの宝、の意)でおおった。
フレイドマルは、呪いのかかった宝なのに、神たちのしばりを解いたことを後悔、非難したが、宝は手ばなさないと言った。
賠償として黄金と指輪をうけとったフレイズマル、その子で竜になったファーヴニル、さらに
ファーヴニルを殺した英雄王子シグルズ(シグルド)とファーヴニルの兄弟レギン等、指輪の持ち主は次々に死んでいった。
(八人の王者は、シグルド、グトホルム、グンナル、ヘグニ、アトリ、エルブ、セルリ、ハムディル)
なお、アンドヴァリの黄金だが、ロキに「泉の焔」を持ってこいと言われた。黄金のことだが、砂金のことだろうか。
別の物語「ヴェルンドの歌」に「グラニの道に黄金はなかったし、ここなる国はラインの岩から遠い」とライン川の砂金のことをいう場面がある。
また、アンドヴァリが梭魚(カマス)になっていたことは、本人が「むかし意地の悪い女神に水中に住めと命じられた」と語った。方々の滝を泳いできた者だとも。
参考資料
・エッダ グレティルのサガ ちくま文庫 (松谷健二 訳)
・図説 妖精百科事典 東洋書林 (アンナ・フランクリン:著、「Myths of the Norsemen」H. A. Guerber:著)